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骨盤臓器脱に対する保存的加療


● リングペッサリー
骨盤臓器脱専用のリング状の医療用器具で、膣内に留置して臓器の下垂を防ぎます(写真、イラスト参照)。

ペッサリーのサイズには個人差があります。
入院の必要がなく簡便で併存疾患や年齢等のために手術を受けられない人には、良い適応と思われます。

一方で、定期交換を要する、感染症のリスクがある、膣から出血が起こり得る、おりものの量が多くなる等のデメリットもあります。

● フェミクッション®
骨盤臓器脱の治療と予防を目的に開発されたサポーターです。

リングペッサリーより違和感が少ないため、骨盤臓器脱の症状が軽い方、または何かの理由で手術を受けられない方に、当女性泌尿器科ではフェミクッションをお勧めしています。

詳細は、女性医療研究所(電話03-5319-2676, HP www.urogyne.jp)にお願い致します。
リングペッサリー外観
リングペッサリー挿入位置

骨盤臓器脱に対する手術療法 [腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)]


腹腔鏡下仙骨腟固定術(
LSC)はプラスチックの一種であるポリプロピレンの糸を編み作成した骨盤臓器脱手術専用のメッシュシートを、腹腔鏡下に膀胱と直腸に挟まれた膣管をサンドして固定した後、より頭側の強固な靭帯に吊り上げ固定することで骨盤臓器の下垂を防止する手術です(図1)。同じ素材から作成されたメッシュは外科での鼡径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアの根治術に長く使用され、身体への安全性が既に確認されています。本手術は、20144月から「腹腔鏡下膀胱脱手術」として保険収載されて、保険診療として受けられる手術となっています。


手術適応のあるほぼ全ての骨盤臓器脱が適応となり、腹部の計
4箇所に、カメラや鏡視下操作用の鉗子を通すためのポートと呼ばれる器具を挿入するための切開(大きさは5 mm2 cm)が必要ですが、傷自体小さく術後の疼痛も従来の開腹手術に比べると格段に軽度です(図2)。

手術の概要としては、前膣壁・膀胱間にて縫合・固定した前側メッシュシートと後膣壁・直腸間に縫合・固定した後側メッシュシートを子宮頸部で連結して頭側へ引き上げ(LSC簡略図、赤↑)、腰~仙椎前面の前縦靭帯という非常に強固な組織に縫合・固定します(図3)。
全ての操作を鏡視下に行う分、出血量は少量で終わることが多い反面、腹腔鏡下に行う縫合・結紮手技が多く、一般的に時間がかかります。

高齢で体力のない方、平均より肥満体型の方、複数回の開腹手術を受けた経験のある方は、手術の難易度が上がるため、安全性の面から次の経腟メッシュ手術(
TVM手術)をお勧めしています。
図1 LSC簡略図(明樂重夫、骨盤臓器脱の腹腔鏡手術、メジカルビュー社 p67より引用、一部変更)
図2 ポート位置
図3 LSC仕上がりイメージ

骨盤臓器脱に対する手術療法 [経腟メッシュ手術(TVM手術)]


この手術は、膣口側から腟壁を切開してメッシュシートを挿入し、膀胱や子宮等の骨盤内臓器をハンモック状に支える手術です(右図1, 2)。本手術で用いられているメッシュも腹腔鏡下仙骨腟固定術で使用しているものと同一製品です。

こちらは主に膀胱瘤や子宮脱に対して実施している手術で、年齢、体型、開腹手術の既往等による影響をほとんど受けずに実施可能で、子宮切除の必要もありません。短時間で終了出来ることが多いのが利点ですが出血量は腹腔鏡下仙骨腟固定術に比べると、やや多くなる傾向があります。


手術の概要としては、前膣壁を切開して膀胱・前膣壁間にメッシュシート(黒塗り部分)を1枚、留置します。


メッシュの最下端は膣壁に縫合・固定し(図1、緑丸)、細長い脚と呼ばれる部分を左右で計2箇所、仙棘靭帯と呼ばれる強固な靭帯に通して(図1, 2、赤丸)、体外に引き出します。切開は、前膣壁を5 cm程度、肛門外側下方で左右5 mm程度です(図3)。
この操作により膀胱および子宮は腹側、頭側に引き上げられ、骨盤臓器の下垂に伴う患者様の不快感は大幅に消失します。

図1 TVM手術簡略図1(日本女性骨盤底医学会雑誌、2014年第11巻1号、p39より引用、一部変更)
図2 TVM手術簡略図2(日本女性骨盤底医学会雑誌、2014年第11巻1号、p46より引用、一部変更)
図3 TVM手術の切開位置(高橋 悟、新Urologic Surgeryシリーズ5尿失禁と骨盤臓器脱の手術、メジカルビュー社 p177より引用、一部変更)

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